中高生の頃、超絶真面目な両親からそれはそれは耳にタコができるほど「手に職」「手に職」「手に職」「手に職」…と言われ続けたことがきっかけで作業療法士の道を選びました。
両親がそこまで言うんだから、たいそう魅力的な働き方なんだと信じていましたが、実際に手に職をつけて働いてみて、メリットを感じることはもちろん多いですが、少なからずデメリットもあると思っています。
これからの進路を決めたり、新たに資格を取得しようとする方にとって大切なポイントをまとめました。
Contents
“手に職をつける”とは
“手に職をつける”ということは、専門的な知識を身につけ、スキルや経験を活かした働き方ができるということ。
医師や弁護士、看護師、保育士、税理士、教師、美容師…などなど資格が必要な職業が「手に職をつける」と聞いた時に多くの人がイメージする職業ではないでしょうか。
「資格がないとできない仕事」ができる点で無資格の人より選択肢が広がり、自身の強みにもなります。
また、特別な資格はなくても経験を積むことでスキルを高めて需要に応えることができる、SEやWEBライター、デザイナー、アドバイザーなども手に職をつけた働き方です。
その他、“職人”と呼ばれる方々もまさに手に職をつけていますよね。
昔からの伝統を受け継ぐ職人さんも、時代にあった新たなものを作る職人さんも、質や価値を追求し続け、その人にしかできないものを生み出せることが唯一無二の強みになります。
手に職をつける メリット
経験をふまえて、手に職をつけるメリットを3つあげて説明していきます。
メリット① 就職&復帰しやすい
私が一番メリットを感じたことは、手に職があると、結婚や出産と言った女性のライフスタイルの変化に強いことです。
私は出産を機に勤めていた職場を一度退職しました。
理由は子どもと長い時間関わりたかった事とすぐにもう一人授かりたかったからです。
そう考えると1年の育休では目処がたたず、一旦“退職”という形をとりました。
これが賢い働き方かどうかは置いておきますが、一旦退職といった行動を迷わずできたことは“手に職がある”という安心感からですし、再度就活をしている今、資格のありがたさは身にしみて感じます。
求人が多いので就職活動に比較的不自由しないことや、採用されやすいことが専門的な知識やスキルを持っている強みになります。
そして、一度採用されれば、安定して長く働けることもメリットです。
メリット② 給与&時給が高め
専門的な知識やスキルを持っていると、給料や時給が高い傾向にあります。
作業療法士の資格を持っている私は社会人1年目で月収27万円、パートの頃の時給は1,600円でした。
厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査(初任給)」の結果によると、大学卒の初任給は平均21万200円となっているので、比較的高めですよね。
資格の取得が難しければ難しい職種ほど高収入になる傾向があります。
安定していて食いっぱぐれがないことは手に職をつけた時の大きなメリットにあげられますよね。
ただし、職種によります。
必ずしも「手に職をつける=高収入」ではありません。
日本でも問題になっていますが、介護業界は他の産業よりも月収が10万円ほど低いと言われています。
このように専門的な知識やスキルを持っていても、報酬が低い仕事は多く存在します。
自分が好きな職業であったり、やりがいを感じているのであれば問題はないのですが。
仕事に対する条件が高収入なのであれば、どの業界や技術に大きな需要があるのかをしっかり見極める必要があります。
メリット③ 独立を目指せる
最近、育児の傍らでWEBライターを始めたことによって、フリーランスになっていくライターさんやデザイナーさんをたくさん目の当たりにし、手に職をつけて独立する働き方に魅力を感じるようになりました。
WEB系の仕事以外で独立が目指せる代表的な職種は、公認会計士や税理士、美容師、調理師、エステティシャン、ネイリスト…などがあげられます。他にもまだまだたくさんありますよ。
経験を積んでタイミングが来たら、独立。
そうすることによって年収が会社員時代に比べてドドーンとUPすることも期待できるわけです。
こちらのメリットについても独立を目指せる職種とそうでない職種があるので、「フリーランスになりたい!」「自分で開業したい!」という方はその可能性がある業界で手に職をつける必要があります。
手に職をつける デメリット
デメリットに対して総じて言えることは、何か資格を取得しようと思ったり、手に職をつけようと思ったときには自分に向いているか、この先続けられるか、社会からの需要は大きいかなどをしっかり考えることが大切になります。
デメリット① 資格取得までが大変
手に職をつけるということは専門的な知識やスキルを身につけるということ。
資格によっては大学や専門学校に通わないと習得できません。
職人さんは見習いから長い年月をかけて技術をものにしていきます。
その他にも学ぶために参考書を買ったり、勉強会に参加したりと、その道で稼いでいける深い知識を得るためには必ず時間とお金を要します。
こういったコストのことをしっかりと考え計画をたてる必要があります。
明確な目標や強い意思がないと途中で心が折れてしまうことも…
時間とお金に加えて労力も要します。
向き不向きはやってみないと分からないところもありますが、途中でやめてしまったら元も子もありません。
自分と真剣に向き合い、手に職をつけられるまで努力できるかどうかが大切なポイントになってきます。
デメリット② 需要がなくなったらお終い
手に職をつけても、社会から需要がなければ、メリットである“安定して長く働ける”は崩れます。
さらに近年、AI(人工知能)の発展は目覚ましいものがあり、便利になる一方でAIに仕事が奪われるといった脅威にも目が向けられつつあります。
2015年12月、野村総合研究所と英オックスフォード大学の共同研究で衝撃的な推定結果が発表された時、大きな話題となりました。
それは「2030〜2040年には日本の労働人口の約 49%が就いている職業において、人工知能やロボットに代替することが可能である」という内容。
AIによる代替の可能性が高い職業としては、人間よりAIの方がミスなくこなせる単純作業を繰り返す仕事が多くあげられています。
税理士や公認会計士など、資格があれば安泰と言われた職業も今後はAIやロボットへの代替可能性がでてくるかもしれません。
一方、AIによる代替の可能性が低い職業としては、コミュニケーション能力やクリエイティブ性を要し、データ解析できない感覚的なことに対して臨機応変さを求められる仕事が多くあげられています。
これから手に職をつけようと考えている方は、10年後、20年後の未来を見据えた行動が大切になってきます。
時間とお金、労力をかけて手に入れるものですから、この先ずっと自分の武器になる強みにしたいですよね。
いかがでしたでしょうか。
“手に職をつける”働き方についてメリットとデメリットを紹介しました。
大切なことは給与などの目に見える条件面だけではなく、その業界で活躍したいと思えて努力を続けられるかどうかではないでしょうか。
私は最初、親の影響で決めてしまいましたが、不向きではなかったこと、働いみてやりがいを感じられたことが大きかったです。
向いてなかったり、楽しいと思えなかったら苦痛でしかないですもんね。
手に職をつけることは安定・安心に繋がります。
しかし、そのスキルで稼いでいくためにはそれ相応のコストがかかったり、需要がなくなる可能性もあります。
そういったことを踏まえ、先見の明を持って行動を起こすことが大切になってきます。